お知らせ
【分科会A4】広報 「伝える」と「伝わる」は何が違うんだろう?〜明日から使える広報の極意〜
2024/05/10レポート
「伝わる」ためにはコミュニケーションを大切にし、関係を築くこと
「赤い羽根共同募金が何に使われているか、伝わっていないのではないか」という問題意識から「伝える」と「伝わる」ことの違いを実践的に探求しようというのが、この分科会A4広報のねらいでした。
最初に、電通デジタル クリエーティブ・ディレクターの沢田真さんが30分にわたって講義をしました。
沢田さんは8年前から共同募金運動の広報に携わってきた「広報のプロ」です。ターゲット(広報の対象者)からいろいろな意見が飛び交う時代であり、この声をフィードバックして「関係性をつくること」が重要であると説明しました。相手とのやりとり(コミュニケーション)が大切であり、「考える⇒伝える・伝わる⇒聞く⇒知る」という循環の流れを強調し、それが「伝わる」ことにつながるとしました。「伝える」「伝わる」の前後での「調べる」「考える」もやってほしいと説明しました(PDCAの循環)。
赤い羽根のロゴマークについても説明。周囲の文字を「じぶんの町を良くする募金」ではなく「じぶんの町を良くするしくみ」とし、「共同募金」と矢印で回転する形にしてあると説明し、このロゴマークには共同募金の本質を捉えた深い意味が込められていることを伝えました。
沢田さんはさらに、赤い羽根共同募金の過去の広報を示しながら、どのような工夫をしてきたかを解説。キャラクターの採用やイラストの設定についても振り返りました。若い世代を意識した2024年度の広報についても説明しました。
赤い羽根はグローカル(グローバル+ローカル)であるとし、ローカルを大切にしつつ地球規模で考え行動するという視点を、沢田さんは参加者に訴えました。「地域性を考慮・尊重しながら、日本規模の視点で考え、みんなで協力していけると嬉しい」と呼びかけました。
そのあと、全国各地の社会福祉協議会が作成した広報の事例を示しながら改善点を助言。正式なロゴマークを掲載することで赤い羽根共同募金やロゴマークの信頼感を育てていくこと、高齢者が読むことを配慮してなるべく文字を大きくし、その分だけ文字数を減らすこと、QRコードの活用などでオンラインコミュニケーションを増やすことなどもアドバイスしました。
続いて事例報告に立ったのは、小諸市共同募金委員会の山浦正志さんです。市内の公民館や商業施設でのポスター掲示、社会福祉協議会の情報紙への掲載をしているが、何かもう一つ欲しいと思っていたとき、ケーブルテレビからお誘いがあったと言います。「ささえ愛・チャンネル」という15分の番組(朝夕2回)を毎月制作しており、10月は赤い羽根共同募金をテーマにしたとの報告でした。募金の「お願い」だけでなく、「ありがとうメッセージ」を中心に制作したと説明。助成金事業、ボランティア団体活動、安心安全事業など各分野から感謝を伝え、視聴者に募金の使い道がわかるように工夫しました。
市民のみなさんから「見たよ」との反応があり、それなりに伝わったのではないかとの感想を語りました。今年も10月に行う予定とのことです。
分科会の後半では、7つのグループに分かれて話し合い、じぶんの町の広報活動を振り返りました。
「広報活動で力を入れていること」「誰に何を伝えたいか」が話し合いのテーマ。出た意見は、「募金の使い道を伝えると理解してもらいやすいので力を入れたい」「活用の分野が広いので、伝え方が難しい」「共同募金なのになぜ目標があるのかと言われることがあり、それをどう理解してもらうか」「独自のロゴマークを使っているが全国共通のマークも使っていかなければ」「広報の効果をどうやって把握したらよいか」など、悩みや今後の取組について意見を交換し、広報のあり方についての理解を深めました。
最後の質問タイムでは、「広報と広告の違いは?」「用紙を縦位置と横位置のどちらにするか選択基準は?」「チラシを配るだけになってしまいがちだが、コミュニケーションに結び付けるアイデアは?」など実践にあたっての疑問点が出されました。ターゲットを考えて内容を工夫しているのに理解されていないことから、「広報を見てもらうこと自体ができていないのをどう乗り越えるか」という基本的な課題があるとの提起もされました。
登壇者
沢田 真 さん(電通デジタル クリエーティブ・ディレクター/アートディレクター)
古賀 桃子 さん(ふくおかNPOセンター 代表)
宮澤 勇貴 さん(千葉県共同募金会)
山浦 正志 さん(長野県共同募金会小諸市共同募金委員会)
山田 伸一 さん(長野県共同募金会伊那市共同募金委員会)
(取材・執筆/ナガクルソーシャルライター 太田 秋夫)
↓↓ショート動画で分科会の様子をご覧ください↓↓
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