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【分科会A5】SDGs ローカルSDGsと共同募金〜共同募金運動を通じて考えるローカルSDGs〜

2024/05/10レポート

【分科会A5】SDGs ローカルSDGsと共同募金〜共同募金運動を通じて考えるローカルSDGs〜
地域を良くしたいという想いから始まる、すべての活動がSDGsにつながっている

 

「第13回赤い羽根全国ミーティング in 信州」1日目の「SDGs」をテーマにした分科会A5には、長野県内外から15人が参加しました。

 

日本における共同募金のはじまりと、SDGsと共同募金のつながりについて、中央共同募金会から説明をした後、基調報告で、公益財団法人とっとり県民活動活性化センター理事長の毛利葉さんが2023年に実施した「SDGs取組に関するNPO・市民活動団体の全国調査」を通じて見えたことを話しました。とっとり県民活動活性化センターは、鳥取県と19市町村の拠出で、ボランティア活動や地域づくりの活動を総合的に支援することを目的に一般財団法人でスタートし、翌年、公益財団法人に。今年で10年目になります。

 

同調査は、NPO法人に限らず、小さな任意団体も含めたNPOSDGsにどう取り組んでいるかを調べました。NPOを対象にした調査は全国初の試みでした。NPOにおいてどのようにSDGsの取組がなされているか、実態を可視化して課題点などを把握することで政策提言に結び付けていこうという目的意識がありました。

 

Web調査で1,181団体、ヒアリング調査で27団体が回答。SDGsの取組を行っている団体が56%、課題として「表面的な取組になりがち」と考えている団体が42%という結果でした。特に理由はないがSDGsに取り組んでいない団体が38%で、働きかけの余地が大きいということがわかったといいます。

 

2団体から事例報告があり、NPO法人あきたパートナーシップ理事長の畠山順子さんは、秋田県におけるローカルSDGsの実践を、「小さな拠点から大きなつながりへ」というテーマで話しました。

あきたパートナーシップは市民活動の中間支援をしており、秋田県ゆとり生活創造センター「遊学舎」の管理・運営などの事業を行っています。指定管理をする中で一番大事に考えているのがSDGs3「すべての人に健康と福祉を」だといいます。生きづらさを抱えた人たちが安心して集まれる場所をつくることを目指しています。

 

昨年、居酒屋の空きスペースを地域の拠点として活用しようと、あきたパートナーシップが中間支援をして運営協議会を立ち上げました。施設運営をNPO法人あきた結いネットが行い、学習支援や食事提供、イベントなどを開いています。活動しているうちに支援が広がり、寄付や食事づくりのボランティアが増えているそうです。

 

「一人では解決できない問題を、団体などにつなぎ、解決を目指したい。私たちは各地域の人たちが自分たちで動き始めるための支援をしているので、協働、パートナーシップの点で、一緒に地域づくりをしていきたい」と畠山さんは話していました。

 

もう一つの事例報告は長野県内から。

中山間地で食農体験を行うボランティア団体の天空の里いもい農場事務局長の西沢和宏さんが「長野市におけるローカルSDGsの実践」を報告しました。

 

天空の里いもい農場は、長野市の芋井・広瀬地区で使われていない田畑を借り、地元の公民館施設を借りて活動しています。2003年にコープながの主催でスタートした活動を有志4人が引き継ぎ、2014年に発足しました。

 

2018年にSDGsの勉強会を開き、自分たちの活動内容を整理したところ、活動そのものがSDGsだと気付いたといいます。2019年にSDGsを据えた活動を開始。活動をSDGs561112151617に置き換えたことで、活動が貢献活動になっているという認識に発展。活動を充実させるための助成金に採択されることも増えたのだそうです。

 

企業、諸団体と連携して活動しており、今年度は漬け物の製造販売を行う企業「東海漬物株式会社」から漬物の先生を招いてぬか漬けについて学び、つくった野菜を無駄なく食べるというSDGs12「つくる責任 つかう責任」を実践しました。

 

西沢さんは「私たちの活動そのものが社会課題解決の一助になっています。共同募金の力添えでさらに地域を良くしていく取組が充実につながっていきます。引き続きボランティア活動を楽しみたい」と締めくくりました。

 

SDGs市民社会ネットワークの新田英理子さんが、前半を締めくくるとともに、後半のグループワークのテーマとして、「みなさんのイチオシの活動事例を紹介してください。みなさんがされている活動をSDGsに寄せる必要はなく、されている活動自体がすでに素晴らしいので、まずは昨年の活動の中で、自分たちが一番推したい活動を紹介しましょう」と提案しました。

 

15人5グループに分かれて話し合い、そこには地域を超えて悩みを共有する参加者同士の共感する姿がありました。「日常の活動がSDGsにつながっていると改めて気づかされた」といった感想があがりました。

参加した新潟市社会福祉協議会の須佐佳純さんは、新潟市内での買い物支援の取組を紹介。中心市街地の店が閉店し、高齢者が買い物弱者になっていますが、その地域では移動販売車で買い物を支援し、公民館の冷蔵庫で品物を保管したり、週1回茶の間を開催したりと、地域住民が自分たちで課題解決に取り組んでおり、「住民の活動が地域の持続可能性を高めていると実感しています」と話していました。

 

登壇者

新田 英理子 さん(SDGs市民社会ネットワーク 理事・事務局長)

毛利 葉 さん(とっとり県民活動活性化センター 理事長)

畠山 順子 さん (あきたパートナーシップ 理事長)

西沢 和宏 さん(天空の里いもい農場 事務局長)

阿部 今日子 さん(長野県NPOセンター 事務局長)

青柳 朱実 さん(中央共同募金会 運動推進部)

 

(取材・執筆/ナガクルソーシャルライター 松井 明子)

 

↓↓ショート動画で分科会の様子をご覧ください↓↓

 

 

分科会の入り口

分科会の入り口

登壇者のSDGs市民社会ネットワークの新田英理子さん

登壇者のSDGs市民社会ネットワークの新田英理子さん

登壇者たち

登壇者たち

何の活動がSDGsの何番に当てはまるか確認し合う参加者

何の活動がSDGsの何番に当てはまるか確認し合う参加者

参加者の感想

参加者の感想