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【全体会】事例共有「信州から考える赤い羽根」

2024/05/10レポート

【全体会】事例共有「信州から考える赤い羽根」
信州の事例で知る 地域の課題を解決してきた好循環

 

 

「じぶんの町を良くする会議 第13回 赤い羽根全国ミーティング in信州」1日目。長野県内の3つの事例報告を通して、「住民が地域の課題を解決する好循環をいかに生み出しているか」を考えました。

 

事例1.赤い羽根で醸成された地域の福祉力 

東御市社会福祉協議会で地域の福祉活動を進めている佐藤もも子さんは、生活困窮者自立支援事業で個々のニーズを聞いて、地域づくりにつなげたいと取り組んだ「おらほの地域福祉づくり事業」を報告しました。「赤い羽根のお金で、地域の福祉力が醸成され、活動が定着してきた。共同募金の支えがあったから、子どもの居場所づくりや生活困窮者の支援などの事業も進んだ」と話し、「社会福祉協議会の職員も総出で募金の意義を住民に知ってもらうことが大事。まだPRが足りない。地域に必要なものは、地域に定着させていくことも私たちの役割」と話しました。

 

コメンテーターの同志社大学名誉教授の上野谷加代子さんは、「1円でも募金してもらいなさい。お金を集めなければ、必要なところに使えない」と伝えていると話し、「地域のニーズに対応するソーシャルワーカーとして、住民のアイデアを活かす『住民力』を高めるためにも、研修を受けて事例に学びソーシャルワーク力をつけていく学びの姿勢が大事」と助言しました。

 

事例2.赤い羽根で広がった地域の福祉教育

宮田村在住で、日本で初めて聴導犬国際認定を受けた日本聴導犬協会会長の有馬もとさんは、保健所で捨てられた犬をなんとか生かしたいと始めた聴導犬の育成が、赤い羽根を活用して現在は「聴導犬・介助犬を通して障がいを知る」という地域に根差した社会貢献活動に発展していると報告しました。「普段障がいを持った方に出会うことは少ないが、聴導犬・介助犬を紹介することで障がい者に必要なことが伝わり、関心を持ってもらうことができる。聴導犬・介助犬を受け入れる社会づくりにつながる。人にも動物にもやさしい環境ができる。コロナ禍はオンライン講演会を開き、動画を撮影して自分たちで編集するのにも赤い羽根の助成を活用した。赤い羽根のブランド力と信頼性に頼って情報を発信し、連合長野や地域の企業からも支援をもらって福祉教育をしている。お返しできるのは『感動』しかない。情報を発信してより良い循環にしていきたい」と話しました。

 

上野谷さんは、「聴力が衰えていく不安と不便さは言い難い」とし、共同募金が地域の福祉教育にも生かされていることを喜びました。

 

事例3.被災して知った募金の使い道

とよの福向チーム集楽元快代表の清水厚子さんは、令和元年東日本台風(19号)の被災者やボランティアが集まって困りごとや愚痴を聞く場所になった「ぬくぬく亭」(語源は「あたたかい」の方言「ぬくてえ」から)を紹介しながら、「在宅避難者は、地域で食事支援を受けていた。被災前は、こんなに支援してくれる方々が全国や地域にいることも知らなかった」と当時を振り返り、「被災して初めて募金のお金が役立っているという実感を得た。小さなお世話が大きな親切になるようにつなげていきたい」と話しました。

 

長野市社会福祉協議会の小野貴規さんは、「災害ボランティアセンターでも共同募金を活用して、時々で変化する地域のニーズに対応するためのサテライト機能を維持してきた。住民の困りごとに対応し、住民の『やりたい』や『必要』を後押しする住民目線の見守り事業に努めていた」と、被災者支援の活動を振り返りました。

 

コメンテーターの全国社会福祉協議会地域福祉部長の高橋良太さんは、「必要なことにすぐ使え、全国で応援できるのが共同募金の強み。赤い羽根は寄付の循環という役割を担っている」と話しました。

 

3つの事例報告を受け、コーディネーターの内山二郎さん(フリージャーナリスト)は、「『循環』、『勇気』、『一緒に』など、たくさんのキーワードをいただいた」とし、「「『お願いします』の先には地域の課題があり、『ありがとう』の先には「役に立った」「こういうことができた」という報告とストーリーをきちんと伝えることが大切。地域の力を信じることでつながって、未来を見据えて活動する。赤い色は『勇気のしるし』でもあり、一歩踏み出す勇気をもって仲間を増やし、一緒に共同募金の運動を進めていきましょう。2日間の分科会でより深い討議に活かしてほしい」とまとめました。

 

〇コーディネーター

内山 二郎 さん(フリージャーナリスト)

〇コメンテーター

上野谷 加代子 さん(同志社大学 名誉教授)

高橋 良太 さん(全国社会福祉協議会 地域福祉部長)

〇事例報告

佐藤 もも子 さん(東御市社会福祉協議会)

有馬 もと さん(日本聴導犬協会 会長)

清水 厚子 さん(とよの福向チーム集楽元快 代表)

小野 貴規 さん(長野市社会福祉協議会)

(記録)ファシリテーショングラフィック(FG)

元持 幸子 さん(長野県社会福祉協議会)

取材・執筆 ナガクルソーシャルライター 吉田百助

 

 

コーディネーターとコメンテーターの3人

コーディネーターとコメンテーターの3人

事例報告とコメントをファシリテーショングラフィック(FG)でまとめました

事例報告とコメントをファシリテーショングラフィック(FG)でまとめました

最後に全体のまとめを行いました

最後に全体のまとめを行いました

事例報告者の4人

事例報告者の4人