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【分科会B1】基礎 新任職員向け分科会~共同募金きほんの『ほん』

2024/05/10レポート

【分科会B1】基礎 新任職員向け分科会~共同募金きほんの『ほん』
共同募金活動の大切さを実感! そのポテンシャルは無限大

 

「第13回赤い羽根全国ミーティング in 信州」2日目には、1日目の続編として分科会B1基礎「新任職員向け分科会〜共同募金きほんの『ほん』」を開催。全国の地域の共同募金会や社会福祉協議会の担当係の新人を中心に、34人が参加しました。どのように業務に取り組めば共同募金の魅力や楽しさ、やりがいを感じることができるのかを、先輩担当者の事例を共有しながら学びました。

 

事例1 「魅せ方」を意識したPRを市町と一緒に

 

栃木県共同募金会の粕谷亜紀さんは、「市町の職員と一緒に活動することを基本とし、PRの仕方や情報発信の方法を意識し、ポジティブに、楽しみながら行っている」と話しました。

 

県共同募金会が最も大事にしていることは、市町と一緒に考え、行動するという協働。担当職員はどうしても現場が遠いので、住民の声を聞く機会があまりない。だからこそ地域住民に近い市町の方が一緒でなければ問題も課題も見えてこない。そのため、市町から声がかかれば、即動けるような態勢で、「どこにも行きますから」という関係性をつくっています。

 

急がば回れ。お金に乗る「気持ち」が生まれる

 

また、粕谷さんは寄付者の理解や気持ちが乗ったお金が募金であり、気持ちの形としてお金があると考えています。

ある企業に市町の職員と募金のお願いに行き、その時はお金を出してもらえませんでしたが、あとで一緒に行った職員から、「災害時の支援協力に加盟してくれそうです。関係性を築いてから再度共同募金をアピールしてみます」と話があったとのこと。粕谷さんは「ハッとした。自分は募金をしてくれる、というところしか見ていなかったなと。いきなり行ってお金をくれでは受け入れてもらえなくて当然。互いに相手への信頼性が深まってこそ気持ちが動き、お金に気持ちが乗るということに気がついた」と言います。その企業からは後に募金があり、防災ネットワークとして協力してもらえていると言います。

 

「魅せ方」を意識して募金への理解を得る

 

栃木県には「共同募金研究会」という有志の会があります。市町の職員と一緒に、“楽しく”よい町にしていく方法を考えています。研究会が目指すのは共同募金への理解。関心を持ってもらうために、住民を惹きつけるPRのアイデアを出し合っています。ワクワクして募金する「赤い羽根ガチャ」、情報誌「A HA HA」の発行、視覚に働きかける「のぼり旗」などが生まれているのです。

 

事例2 課題を共有・可視化したことで「我が事」となる

 

下呂市支会の今井政貴さんは、「共同募金についてイチから学び直したことで大きな気づきがあった」と話します。

 

共同募金は計画募金。クラウドファンディングと同じ視座

 

下呂市の募金額は岐阜県内で高い水準にあると言われています。「それなのに職員は胸を張って募金業務をしていないし、寄付者も淡々とお金を出している。なぜだろう? 職員も市民も共同募金について知らないからではないか」と今井さんは考えました。そして制度や歴史、流れや性質を学び直しました。一番大きな気づきは、共同募金は計画募金であるということでした。無作為にただお金を集めているのではなく、目標があってそれを達成するための募金業務だということに気づきます。

 

「取組を実施するために必要額を算出する」。今井さんはこれを業務の根幹に据えました。さらに、共同金配分事業を見直し、課題を共有・可視化。これらによって課題が「我が事」となり、我が事のために胸を張って募金業務に取り組めるようになったと言います。さらに、共同募金の視座はクラウドファンディングと同じではないか!と気づくと胸が躍り、仕事が楽しくなったのです。

 

共同募金と社協と住民が、課題と目的を共有

 

地域交流を活性化するためにサロンが欲しいと社協からリクエストがありました。サロンを作ることが目的ではない。「何のために地域交流を活性化する必要があるのか」。介護予防、仲間づくり、生活の張りといった目的を明確にしました。

 

そして課題と目的を住民と共有するために、実施しているすべての事業を一覧にして、本当に必要かどうかアンケートを取りました。結果、住民も「我が事」として認識するように。すると次の課題も見えてきます。サロンに行きたくても「足」がない。送迎し合える環境をつくろう、貸出車両も検討しよう、といった解決策が出てきた過程を今井さんは丁寧に説明しました。

 

質問・回答タイムで学びを深める

 

事例報告後は、ボードに貼られた参加者からの質問や感想がいくつか読み上げられました。「忙しくてつらい」「アイデアはどうやって生まれてくるの」などの悩みや質問に、登壇者は「目標の見える化」、「市町村とのつながりの強化」、「小さな活動の掘り起こし」と回答しました。登壇者はともに「共同募金は(無限大)」とアピールしました。

 

登壇者

山岸 久美子 さん(長野県共同募金会安曇野市共同募金委員会)

粕谷 亜紀 さん(栃木県共同募金会)

今井 政貴 さん(岐阜県共同募金会下呂市支会)

横谷 貴大 さん(長野県共同募金会御代田町共同募金委員会)

湯本 健太 さん(長野県共同募金会須坂市共同募金委員会)

 

 

(取材・執筆/ナガクルソーシャルライター 佐藤 定子)

 

↓↓ショート動画で分科会の様子をご覧ください↓↓

 

 

安曇野市共同募金委員会の山岸久美子さん 

安曇野市共同募金委員会の山岸久美子さん 

栃木県共同募金会の粕谷亜紀さん 

栃木県共同募金会の粕谷亜紀さん 

下呂市支会の今井正貴さん

下呂市支会の今井正貴さん

(左)須坂市共同募金委員会の湯本健太さん<br>(右)御代田町共同募金委員会の横谷貴大さん

(左)須坂市共同募金委員会の湯本健太さん
(右)御代田町共同募金委員会の横谷貴大さん

全体の様子

全体の様子

栃木県共同募金会発行のチラシ

栃木県共同募金会発行のチラシ

質問者

質問者