お知らせ
【分科会A6】インクルージョン 協働の可能性は∞〜これからの地域課題を解決するアイデア出しをしよう‼~
2024/07/03レポート
赤い羽根を土台として、地域に根付いた活動を実現し協働の輪を広げる
「第13回赤い羽根全国ミーティングin信州」1日目。長野県自治会館を会場に行われた分科会A6インクルージョンでは「協働の可能性は♾️~これからの地域課題を解決するアイデア出しをしよう!!~」をテーマに全国各地、北は秋田県から南は沖縄県まで28人の参加者はA~Gまで各テーブル4人ずつに分かれ、自己紹介などで親交を温めました。
まず、上田市社会福祉協議会・共同募金委員会の荻原宏樹さんから、中央共同募金会のモデル事業について話しました。上田市では平成30年度からの6か年の地域福祉計画と地域福祉活動計画を上田市社会福祉協議会と連携、協働して策定。その中に赤い羽根募金運動も示されているのは珍しいケースで地域福祉計画と助成プログラムを連携させ、助成プログラムの見直しを行いました。荻原さんは、通常の共同募金の仕事だけではつながることがなかった上田地域で活動している3人のパネラーと知り合えたことにも触れ、その後パネラーを紹介し、パネルディスカッションが行われました。コーディネーターとして、文部科学省総合教育政策局 男女共同参画共生社会学習・安全課・障害者学習支援推進室の福澤信輔さんも登壇しました。
パネラーの1人目、長野大学特任教授の宮本秀樹さんによる「カレッジ長大の実践が目指す共生社会づくり~事業の持続可能性に視点を置きながら~」の報告から始まりました。障がい者は学校教育を終えると家と作業所の往復だけで、社会的な活動の場が限られている現状から、地域大学として「カレッジ長大」の活動をスタート。18歳以上の軽度の知的障がい者を対象に、2023年度は10月から12月までの3か月間計6回、受講者と学生サポーターとの協働を意識した記憶と再生に頼らない教育プログラムを行いました。初年度の受講生は9人。今後の財源の課題、学生スタッフの確保といった持続の可能性や、認知度向上の必要性はあるものの、手ごたえのあるスタートだったそうです。
それを受けて、コーディネーターの福澤さんからは、文部科学省の障がい者の生涯学習の推進モデル事業の説明と、委託された全国37団体の中には、共同募金の助成金を活用していることも加えて話しました。
パネラーの2人目は、上田市で侍学園スクオーラ今人の若者サポートステーション・シナノ統括コーディネーターをしている藤井雄一郎さん。侍学園スクオーラ今人では主に20~40代の若者を対象に、ニート支援、社会参加不全の改善を目指して寮生活を通じてまずは定期的に食事をとることから始める基本的な生活リズムと、自立の力を身につける場を提供しています。
また全国170か所あるサポートステーションは各地域で運営団体が違い、社会福祉協議会が運営したり、NPO運営だけでは支えきれないという実情もあります。
家にひきこもるしかない若者は「困っているなら相談所に行きなさい」と言われても、そもそも人に悩みを吐露することが難しいのです。それでも、人とのかかわりでしか人は救われない、という藤井さんご自身の経験も含めて、若者へのサポートの難しさと必要性を話しました。
パネラーの3人目は場作りネット副理事長の元島生さん。上田市海野町で、一泊500円で泊まれるゲストハウスやどかりハウスを運営。生きづらさを抱えた人の駆け込み寺として、電話やネットでは1,000人以上が利用し、2020年のコロナ以降の3年で470人が宿泊利用した実績があります。その8割は女性で暴力被害からの逃げ場所です。昨日も「家に帰りたくない。死にたい」という12歳の小学生女子が駆け込み、朝までスタッフとやりとりをしたという実情を話しました。一方で長野県のシェルターの利用者は年間で15人。制度の中では必要な人が利用しにくい現実がある中、このゲストハウスの存在意義は大きいと言えます。
元島さんは「どんな人でも、まずは受け入れる。そのあとはあとで考えようというスタンスだからこそ、必要な人に届いている」と。しかし初年の3年間は、共同募金を含め助成金で活動してきたが、今年度は年間1,000万円の運営費が捻出できずピンチを迎え、「たすけてください!」とインスタliveを始めました。そこで毎月70数人からマンスリーサポートと、オープンチャットで相談に乗るスタッフ70人の協力でなんとか運営をし、現在もクラウドファンディングに挑戦しています。活動団体当事者として「この内容で認めてもらえるかどうか申請書を書くのが嫌になったこともある」という本音も伝えました。それでも「一年で断念したシェアハウス運営のチャレンジは結果的には失敗でも、共同募金のような自由度が高い助成金があったからこそ、地域の課題解決のためにまず始めたことは良かった」という点も付け加えていました。
インクルージョン いかに共同募金を地域の課題解決に活用していけるか?
分科会の後半は各テーブルでのグループワークが行われ、率直な意見や感想をシェアしあいました。鳥取県から参加した福田郁枝さんは「上田市でのケースはわが街でも抱えている緊急課題だと思う。もっと柔軟に、硬直しがちな助成団体だけではなく、自分たちの地域課題に取り組む団体とのつながりを見つけ、サポートを行っていく必要性を強く感じた」と話しました。従来の制度にはあてはまらない取組をしている団体にこそ、共同募金ならではのサポートの可能性を感じる分科会となりました。
登壇者
福澤 信輔 さん(文部科学省 総合教育政策局 男女共同参画共生社会学習・安全課・障害者学習支援推進室)
宮本 秀樹 さん(長野大学 特任教授)
藤井 雄一郎 さん(侍学園スクオーラ今人、若者サポートステーション・シナノ統括コーディネーター)
元島 生 さん(場作りネット 副理事長)
荻原 宏樹 さん(長野県共同募金会上田市共同募金委員会・上田市社会福祉協議会)
山田 翔太 さん(長野県共同募金会御代田町共同募金委員会)
(取材・執筆/ナガクルソーシャルライター 大日方 雅美)
↓↓ショート動画で分科会の様子をご覧ください↓↓
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