お知らせ
【分科会A2】戸別募金「共同募金は誰のためのもの?〜これからも地域に支え合いの心をつなぐために〜」
2024/07/03レポート
住民の意識に変化が! 以前のようにはいかない戸別募金活動をどうするか?
「第13回赤い羽根全国ミーティング in 信州」1日目の分科会A2戸別募金は、全国各地の自治会関係者と共同募金担当者ら約40人が参加し、「これからも地域に支え合いの心をつなぐために」をサブテーマに、事例報告とグループワークで「共同募金は誰のためのもの?」について話し合いました。
導入説明では、「募金全体の約7割を占めている自治会・町内会の協力による戸別募金が、住民の意識と自治会の変化があって以前のようにいかなくなっている。どのような地域をつくっていくかという目的は、自治会も共同募金も同じ。共同募金が地域に役立てられていることを、きちんと示すことが大事」との問題提起がありました。
事例報告は長野県内から2つ。
はじめに、松本市共同募金委員会の鳥羽弘幸さんが、「市内35地区の運営委員で年2回の委員会を開き、目標額の設定と活動の内容、配分金の配分などを確認している」と現状を説明しました。また、「令和3年に共同募金に関する新聞記事が掲載され、自治会で集金する是非や任意性などに多くの意見が寄せられるようになったことから、アンケート調査で状況とさまざまな意見を把握し、募金の目的と使い道、必要性をより多くの人に理解していただく必要があると考え、長野県共同募金会が出したガイドラインをもとに、強制感がないよう任意であることを明確に『社協だより』などで周知に努めている」と報告しました。
続いて、長野市共同募金委員会の寺島祥正さんは、中央共同募金会のサイトに掲載された令和4年度のデータをもとに「長野市では89%が戸別募金で、長野県は80%、東京都の54%よりはるかに多い」と現状を話し、「募金実績は年々減少傾向だが、地域での活動の推進と財源の確保は両輪で、日頃のコミュニケーションが大事」と、地域の役員として共同募金に携わっている南俣区長の清水英雄さんを紹介しました。
清水さんは、「共同募金は強制か?どんなところに使われているのか?」という電話を受けたことをきっかけに、「区だより」で「なぜ募金が必要か」を知らせたこと、「募金をお願いする家庭訪問がつらいので、役員を辞めたい」と言ってきた人がいたこと、コロナ禍で人とのコミュニケーションを避けるような風潮があったこと、など現場の様子を話しました。また、「行政の手が届かない部分を支援する社会福祉活動のためにも募金が必要」と考え、きめ細かな住民への説明に努めて、1世帯・1事業所あたりの目安額と納める時期を示したり、隣組長にQ&Aれて、小さな手にお金を握って募金に来る姿に感動を覚えた。助け合いができる心と子どもに優しい町にしよう」と力強く話しました。
テーブルごとのグループワークでは、「戸別募金の理解促進に向けてできること」を話し合うため、「地域の自治組織とより良い関係を築くためには(区・自治会の皆さんに気持ちよく取組を担ってもらうための方法について)」と「戸別募金のアプローチ方法(各世帯にお願いをする際に工夫していること)」をテーマに、自由に意見を出し合いました。
・地域の活動に生かされていることを出前講座で知ってもらう
・地区の行事に参加、協力して、日頃から良い関係を築く
・回覧チラシや封筒に使い道を掲載してPRする
・ありがとうメッセージをチラシに載せたり、動画で知らせたりする
・町会長を集めて動画を作る
・SNSを使って子育て世代や若年層へ働きかける
・キャッシュレス化を考える
など、模造紙にたくさんの事例や考えが張り出されました。
各地の取組や工夫を情報交換しながら参加者は、全国の自治体ごとに募金活動の仕方が違ったことに「それでいいんだと初めて知った」と驚いたり、「そんな工夫があったんだ」とヒントを得たりしていました。
ファシリテーターを務めたルーテル学院大学名誉教授の和田敏明さんは、「それぞれの地区に清水区長のような人がいてほしい。良い関係づくりは永遠の課題、どこも工夫している。みんなで暮らすために力を合わせる認識で地域の方々とつながっていく。助成を受けたところには『こんなことができた』、『よかった、喜ばれた、感動した』ことを発信してくれるようにお願いする。安心して暮らせる地域を一緒につくっていく知恵が集まった分科会でとても良かった」とまとめました。
登壇者
和田 敏明 さん(ルーテル学院大学 名誉教授)
鳥羽 弘幸 さん(長野県共同募金会松本市共同募金委員会)
寺島 祥正 さん(長野県共同募金会長野市共同募金委員会)
清水 英雄 さん(長野市芹田地区南俣区 区長)
熊谷 有祐 さん(中央共同募金会 運動推進部長)
(取材・執筆/ナガクルソーシャルライター 吉田百助)
↓↓ショート動画で分科会の様子をご覧ください↓↓
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