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【分科会B5】災害支援 災害支援×ここまで活かせる赤い羽根〜 「お金の心配」を「支援の限界」にしないために〜

2024/07/04レポート

【分科会B5】災害支援 災害支援×ここまで活かせる赤い羽根〜 「お金の心配」を「支援の限界」にしないために〜
共同募金がボランティア活動を資金面で支え、いち早い支援につながる

 

被災地における支援では、社会福祉協議会やNPOなどの民間活動による支援が欠かせません。「第13回赤い羽根全国ミーティング in 信州」2日目の分科会B5災害支援では、それを支える共同募金の役割と連携の重要さについて理解を深める機会となりました。

 

前半は、各地の被災地で支援活動の先頭に立ってきた4人のパネラーによるセッションが行なわれ、コーディネーターはさくらネット代表理事の石井布紀子さんが務めました。石井さんは阪神・淡路大震災のときから今日まで全国各地で支援活動を継続。阪神・淡路大震災当時はまだ赤い羽根の災害等準備金はなかったこと、2004年の中越地震のころから支援の体制が整い始めたこと、2011年の東日本大震災のときには赤い羽根が大きな役割を果たしたことを冒頭で紹介しました。

 

続いて、中央共同募金会基金事業部長の山内秀一郎さんが寄付の種類や共同募金の仕組みを説明。企業や個人から寄せられた寄付は支援金・共同募金として被災者支援活動・ボランティア活動の助成で使われること、都道府県共同募金会が寄付額の3%を上限に「災害等準備金」を用意しておき、発災時には速やかに被災地の災害ボランティアセンターの活動を資金面で支援(助成)していること、中央共同募金会が「ボラサポ(災害ボランティア・NPO活動サポート募金)」として被災地で支援活動をするボランティア・NPOを支援(助成)していることを、図版を用いて解説しました。東日本大震災では417,931万円(9,876件)が、令和元年東日本台風(台風19号)災害では2億3,584万円(185件)がボラサポで助成されています。

 

セッション①は「災害支援の実際と共同募金の役割」で、長野県社会福祉協議会の山﨑博之さんと災害NGO結代表の前原土武さんが現場での状況をつぶさに報告しました。

 

山﨑さんは災害時の「三者連携」(行政・社協・民間)における長野県社会福祉協議会(以下「県社協」)の立ち位置について説明。現場で解決できない課題を広域連携で対応が可能になると話しました。それがフルに生かされたのが令和元年の台風19号での千曲川決壊による被災への支援活動でした。山﨑さんは当時の活動の様子を写真で提示しながら、「被災地社協の限界を被災者支援の限界にしない」との考えから県社協として介入(支援)したこと、災害等準備金を活用して資金的な助成をすることで迅速な支援が可能だったことを紹介しました。

 

災害ボランティアセンターではできなかった農業の復興のために農業ボランティアを立ち上げることでできたこと、活動拠点の設置でも活かされたことを報告しました。これらは資金的なバックアップがあったから実現したのです。

 

前原さんは「連携」について語りました。被災直後、重機系のボランティアは、地域のボランティアセンターが立ち上がる前から現場に入り、土砂の撤去などの活動をします。その活動するとき、日頃からの信頼関係が生かされたことを強調しました。

 

「令和元年台風19号での長野県が被災したとき、いろいろな支援団体が立ち上がったけれど、活動を進める上で資金がないわけで、そんなときにも連携が大事だった」と説明しました。そして長野での特徴として「受援力」があったと説明。それは過去の災害で組織同士がつながっていて、普段から信頼関係が結ばれていたことでした。その中核の一つとして次に説明する「長野県災害時支援ネットワーク(以下「Nネット」)」の存在は大きかったのです。

 

そして、セッション②は「連携・協働の推進と共同募金の可能性」がテーマでした。長野県生活協同組合連合会事務局長の中谷隆秀さんと長野県NPOセンター事務局次長の古越武彦さんがマイクを持ちました。

 

まずNネットについて、中谷さんは発足の経緯を含めて詳細な説明。「地域の課題は生協(生活協同組合)の課題であると考えていたものの、災害支援の諸団体とつながりができていなかったことから、2017年に組織づくりを始めた」と語りました。県社協、県NPOセンター、県行政と連絡をとり、4者の間で情報交流がスタートし、この活動の原資になったのが共同募金だったと説明。組織間の連携ができた直後に2019年の災害が発生したのです。

 

古越さんは「災害は日常生活の延長線上で起きる」との私論を述べ、それだけに「地域を支える仕組みづくりが必要だ」としました。それを実現する上で、「赤い羽根の存在が大きい」と話し、共同募金へ期待を示しました。

 

後半は「災害時支援と共同募金を考える」をテーマにグループワークをしました。ヒト・モノ・カネ・情報のリソースを洗い出し、どうつながり連携していくかを具体的に検討してみました。分科会には13の都道府県から、30人の参加があり、平時からの連携について理解を深める場となりました。

 

登壇者

石井 布紀子 さん(さくらネット 代表理事)

前原 土武 さん(災害NGO結 代表)

中谷 隆秀 さん(長野県生活協同組合連合会 事務局長) 

古越 武彦 さん(長野県NPOセンター 事務局次長) 

山﨑 博之 さん(長野県社会福祉協議会 まちづくりボランティアセンター主査)

山内 秀一郎 さん(中央共同募金会 基金事業部長)

 

(取材・執筆/ナガクルソーシャルライター 太田 秋夫)

 

↓↓ショート動画で分科会の様子をご覧ください↓↓

 

 

中央共同募金会の山内秀一郎さん

中央共同募金会の山内秀一郎さん

長野県社会福祉協議会の山﨑博之さん

長野県社会福祉協議会の山﨑博之さん

災害NGO結の前原土武さん

災害NGO結の前原土武さん

長野県生活協同組合連合会の中谷隆秀さん

長野県生活協同組合連合会の中谷隆秀さん

長野県NPOセンターの古越武彦さん

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コーディネーターを務めたさくらネットの石井布紀子さん

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グループでまずは自己紹介

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リソース洗い出しのワーク

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パネラーのみなさん

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寄付と支援活動の助成

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支援金の活用事例

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三者連携のしくみ

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