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【分科会B2】募金 企業とつながるWIN-WINな関係を築くコツ〜企業やはたらく人のホンネとアプローチの仕方〜

2024/05/10レポート

【分科会B2】募金 企業とつながるWIN-WINな関係を築くコツ〜企業やはたらく人のホンネとアプローチの仕方〜
お金だけの関係ではなく協働することで企業価値が上がる。継続していく活動になる

 

「第13回赤い羽根全国ミーティング in 信州」2日目の分科会B2募金には、全国から42人が集まり、2日間通して最も参加者の多い分科会となりました。

 

栃木県共同募金会の池田秀昭さんが共同募金における企業との連携・協働について、「この分科会はただ『お金をください』というところから一歩飛び越えた、企業とのWIN-WINな関係を『じぶんの町を良くするしくみ』に生かしていけるように、学んだこと、考えたことや勇気をみんなで地元に持って帰ろうというプログラムです」との導入説明で始まり、3つの事例報告がありました。

 

栃木県共同募金会は令和4年にスタートした「とちぎコープ」の「はがき・切手回収キャンペーン」で協働し、子ども・子育て支援の助成金として活用した事例を報告しました。

令和2年春から中央共同募金会と都道府県共同募金会の「赤い羽根子どもと家族の緊急支援全国キャンペーン」が始まり、全国でコロナ禍の福祉活動を支援するために展開。とちぎコープから栃木県共同募金会に寄付がありました。

 

1年後の令和3年9月、コープデリ生活協同組合連合会と17県のコープが取り組む「はがき・切手回収キャンペーン」で、とちぎコープから「子ども・子育て支援に役立てる寄付をしたい」と栃木県共同募金会に提案があり、打ち合わせを重ねて「はがき・切手回収キャンペーン」での協働につながりました。

 

日本ファンドレイジング協会事務局長の小川愛さんはこの事例報告を受け、「企業との連携をするには準備に時間がかかります。着実に信頼関係を積み上げていく、真摯な取組が連携につながった事例だと思います」とまとめていました。

 

2例目の長野県共同募金会の花岡和哉さんは、令和3年から毎年行っている「信州寄付マルシェプロジェクト」で、食品スーパーのデリシアでサントリーの対象商品を1本購入ごとに1円を長野県共同募金会を通じて、あなたの町を良くする活動に寄付される取組を紹介。今年も930日まで実施しています。今年度は170万円の寄付を目標にし、年々大きなプロジェクトに成長しているそうです。

 

小川さんからは「企業にはこういう場にどんどん出てきてほしい。取組を紹介することで、参加者が話のネタを持ち帰り、地域での協働、連携につながります。お互いの力を借りることで、お互いの活動に広がりが出ます」と話しました。

 

最後に、東海村共同募金委員会の仲田瑞穂さんが、コロナ禍での事業を経て地域の事業所と新たなつながりができ、地域の店舗で寄付付き商品の取組につながった事例を話しました。

 

企業とつながるきっかけになった東海村社会福祉協議会が、コロナ禍でもつながりを絶やさない地域づくりを展開していくために、新たなニーズ対応で16事業を始めました。そのうちの一つ、家庭とお店の応援プロジェクト。臨時休校中の子どもたちの安定的な食事の提供、保護者のストレス軽減、村内飲食店の応援を図る目的で村内の飲食店で使えるテイクアウト、デリバリーを行いました。

 

事業を通じて新たに関係性ができ、地元企業との連携につながり、寄付付き商品の取組を始めました。コロナ禍に支えられた人が支える側になったことで、今まで以上に地域で支え合うことの大切さの企業からの共感性が高まったといいます。

 

小川さんは企業側のポイントとして、「企業はステークホルダーへの説明責任を背負っているので、なぜこの寄付をするのか、明快な答えが持てるかがポイント。また、企業はペイしないことはやってはいけない、1円でも利益を出すという命題があります。そして、企業が一番大切にしているのは企業エンゲージメント。社員に自分の会社を好きになってもらえるために誇れる活動をしたいのです」とし、社会課題解決のためにどう連携すれば良いか幅広く考え、企業とWIN-WINな関係をつくるカギとして、「信頼性」「独自性」「継続性」が大事であると全体を振り返り、まとめました。

 

後半のグループ討議では、企業とのオリジナルコラボ商品を紹介したり、「寄付付き商品に取り組みたいが、どう進めたらよいかわからない」など、率直な意見で盛り上がりました。佐倉市社会福祉協議会の菅野夢佳さんは「全国の取組を聞いて、新しい発見がありました。さまざまな意見をいただいて改善点に気付いたり、もっと取組を進めようと思える良い機会になりました」と話していました。

 

登壇者

小川 愛 さん(日本ファンドレイジング協会 事務局長)

池田 秀昭 さん(栃木県共同募金会)

仲田 瑞穂 さん(茨城県共同募金会東海村共同募金委員会)

花岡 和哉 さん(長野県共同募金会)

 

(取材・執筆/ナガクルソーシャルライター 松井 明子)

 

↓↓ショート動画で分科会の様子をご覧ください↓↓

 

 

分科会B2募金

分科会B2募金

(左から)東海村共同募金委員会の仲田瑞穂さん、栃木県共同募金会の池田秀昭さん

(左から)東海村共同募金委員会の仲田瑞穂さん、栃木県共同募金会の池田秀昭さん

長野県共同募金会の花岡和哉さん

長野県共同募金会の花岡和哉さん

日本ファンドレイジング協会の小川愛さん

日本ファンドレイジング協会の小川愛さん

"推し事業”を紹介し合う参加者たち